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パソコンを購入する前に知っておきたいこと

パソコンの納品や修理でお伺いした際に、よくある質問の中に、
「どうすればパソコンを長持ちさせることが出来るか」という類のものがあります。

特に新品のパソコンを購入された人からは、必ずパソコンを扱うときの注意点を尋ねられます。

比較的、手ごろな価格になってきたとはいえど、まだまだパソコンは高価な家電製品といえるでしょう。
壊さないで、上手に長くパソコンと付き合っていく方法を書いてみたいと思います。

パソコンはどういう家電製品?

テレビが壊れる、洗濯機が壊れる、ビデオが壊れる・・・
どんな電化製品にも寿命があって、道具はいつか壊れるものです。

パソコンはどうでしょうか?もちろん壊れます。
では、いつごろ壊れるのでしょうか?
これにはまず、パソコンという家電製品がどういう特性を持っているかを知らないといけません。

まず最初に言っておきたいこと、それは
「パソコンは、明日壊れたとしても不思議ではない」ということです。
正確に言えば明日を待たずとも数時間後に壊れてもおかしくないのです。

こう書くと不安になる方もいらっしゃるかと思いますが、パソコンは家電製品の中ではおそらく1、2を争うくらいトラブルの多い家電製品です。

「明日、壊れてもおかしくない」
この考え方でパソコンと付き合っていくことにより、不幸にして本当にパソコントラブルにあった時に、被害を最小限に止める事が出来るのです。

パソコンの種類の違いについて

一口にパソコンといっても大きく三種類に分けられます。

まずは昔ながらのデスクトップパソコン

本体があって、モニター、キーボード、マウスという具合にそれぞれのパーツに分かれているタイプです。

欠点としては設置する場所として比較的広めのスペースが必要ということがあります。
あと、それぞれのパーツを接続するためのコードが多いので、どうしてもパソコン周り(主に後ろ部分)が乱雑になってしまうことでしょう。

長所としては、他の種類のパソコンと比べて比較的寿命が長い。これは定まった場所に据え置かれていることにより使用環境がほぼ変わらないため、あくまで他の種類に比べると故障などにつながる要素が少なくなるからです。
次にあげられる長所としては、故障したときにサードパーティ製(純正でない製品・部品)のものを使って修理がしやすいという点でしょうか。
ただし、後述しますがサードパーティ製のものを使うことにはパソコン使用者に大きなリスクが伴います。
あと、パーツがそれぞれに別れているので、代替品の応用のしやすい点があげられます。たとえばモニターが故障したなら、接続形式(D-subとかデジタルとか)さえ同じならば他メーカーのものを繋いでも大丈夫・・・など。

次にノートパソコン

たくさんのメーカーから、様々なデザインや機能を持ったノートパソコンが発売されています。
価格も安くなり、多くの人が新品購入の際や、セカンド・パソコンとしてノート型を選択していると思われます。

現在の家庭用パソコンでは主流になっています。

欠点としては、故障の際には純正以外の部品対応の数が少ないこと。これはメーカー修理になりやすいということになります。
さらにメーカー修理の際はすべてをメーカーに引き渡さないといけないという点です。
キーボードだけの故障なのに、本体も含めてメーカーに引き渡すことになるので、修理に出している間はパソコンを使った作業が出来ないことになります。
また、デスクトップ型に比べて寿命が短いこと。この理由も後で述べたいと思います。

長所は、持ち歩いて移動可能なこと。省スペースで設置できる
他のパーツとの接続コードがほとんどない(新品状態ではマウスくらい)ので、すっきりしている・・・といったところでしょうか。

最後は一体型パソコン

これは液晶画面と本体が一体になったパソコンです。
この一体型パソコンも、ノート同様に数を伸ばしています。

欠点は、メーカー修理となった際には丸ごと修理に出さないといけないという点があげられます。これはノートも同じです。
あと、デスクトップ型と同程度の設置スペースが必要ということ。(最近ではノートとデスクトップの中間機種のようなものもありますが)

長所はノート同様に配線が少ないので、パソコン周りは乱雑にならないということ。
電源コード以外としてはキーボードやマウスの接続コードがあるくらいでしょう。
ただし現在では、一体型でもワイヤレスキーボードやワイヤレスマウスを搭載している機種がほとんどで、ノート同様に電源コードのみというケースがほとんどです。

さらにあげられる長所としては、モニターと本体が一体のため、同じスペースに置くならばデスクトップ型よりも大画面のものが設置できます。

このため、個人事業や中小企業などでは比較的、この一体型を利用している感があります。

短所としてあげるならば、やはり設置には一定の広さが必要なこと。

あと、故障の際にはノートパソコンと同様に、メーカー修理でないと直せないケースがあることでしょうか。

最後にパソコンの種類を問わずに故障の際、留意しておかなければならないことがあります。

デスクトップパソコンはサードパーティ製の部品で修理しやすいと書きましたが、実は大部分のメーカーはこういったサードパーティ製の部品を推奨していません。

さらに、サードパーティ製の部品と交換した後に、別件でメーカー修理をしようとしても改造品とみなされてメーカー修理が効かない場合があるのです。
つまり、安易に「安いから」という理由だけでサードパーティ製の部品を使って修理をすると、後日メーカー修理ができない場合があるのです。

この点は私たちのようなパソコン修理専門店も、修理前にお客様に了承・理解をきちんと得なければいけない点でもあります。

パソコンの種類による注意点

あたりまえの話ですが、デスクトップパソコンを持ち歩く人は、まず居ないでしょう。
ノートパソコンなどは、私も仕事用に持ち歩いています。

​ですので落下やその他の衝撃による故障は圧倒的にノートパソコンに多いといえます。
これは家庭内でも同じことで、ノートパソコンの故障トラブルに多いのは落下による破損や、飲み物などをパソコンにこぼしてしまい故障するケースです。
これらは注意さえすれば防げるトラブルです。

​では、デスクトップや一体型ではどのようなトラブルがあるでしょうか?
持ち歩くことのない反面、移動することすらままならないので、大敵となるのはホコリです

パソコンは起動直後から内部を冷やすために数種類のファンが回ります。
このファンの一部に、外から空気を取り入れるためのファンがあります。
ファンが回転する間、常に空気が入り込み続ける状態になるので、この時にホコリも同時に吸い込みます。
これがパソコンの基盤や、基盤についているメモリーなどの各部品に付着していきます。結果として熱の分散効率が悪くなり、CPUやHDD(ハードディスク)といった熱に弱い部品から不調になっていきます

​さらに注意しないといけないのは、人間でいう「脳」の役割をしているCPUには専用のCPUファンとCPUクーラーという冷やすための部品が取り付けられています。
外から来たホコリがCPUファンやCPUファンから送られてくる風によってCPUクーラーにどんどん付着してゆき溜まっていきます。

​ホコリが原因による放熱率の低下からの故障は、デスクトップパソコンに限ったものではありませんが、買ってから何年も経っているパソコンで裏側を見るとホコリだらけという環境であれば、一度、中を開けて清掃したほうが良いかもしれません。

​この際に注意しておきたいところは、清掃に掃除機を使わないことです。

あまりのホコリにびっくりして掃除機を持ち出す人は多いでしょうが、掃除機を使うと強い空気の流れが発生し、同時に静電気も発生します。
静電気に弱いメモリーなどの部品が、この時に壊れてしまう可能性があるからです。

清掃には家電量販店などに置かれているエアーダスター(缶スプレーのようなもの)を使うと良いでしょう。

デスクトップパソコンのケースの開け方はメーカーにもよりますが、説明書に記載されていることが多いです。しかしノートパソコンではメモリーの交換などの説明は載っていても、肝心のマザーボード周りなどのホコリは分解しないと取れないケースがほとんどです。

ですのでノートパソコンでは極力、ホコリを避けるように気を使いながら使用したいものです。
先ほど、ノートパソコンは他の種類に比べて寿命が短いと書きましたが、その理由は不注意によるトラブルが多いのと、ホコリ対策が簡単に出来ないのが原因です。

一体型のパソコンもノート型ほどではないにせよ、清掃はややしにくい面があり、設置後もそのままのケースが多いので注意が必要です。

​以上の説明から判るように、パソコンに大敵なのはホコリ・熱・水気・衝撃などです。

その他の注意すべきことは?

種類による注意点で述べたことでは、普段の生活の中でパソコンを扱う面を主に述べています。
これら以外でもパソコンを使う上で気にしなくてはいけない点がいくつかあります。

​これは昔から言われていることですが、まず、パソコンの電源の扱い方です

Windowsの古い時代のものから最新のWindowsに至るまで、パソコンの電源ボタンを長押し(約4秒以上)することによって、パソコンの電源が強制的に切れる機能です。

これは古いOSの時代に多発していたフリーズ(キーボードやマウス操作がまったく効かなくなる状態)から抜け出す最終手段として、用意されていたものです。
実際ではXP以降くらいから、滅多なことではフリーズすることも少なくなってきてはいるのですが、それでもやはりフリーズしてしまうことがあります。

では、強制終了するときに何を気をつければよいのでしょうか?

​それはパソコンのHDDアクセスランプの動きを見ながら強制終了するということです。
HDDのアクセスランプは、たいていのパソコンでは電源ランプのすぐ横にあります。
電源ランプのマークは、円形に垂直の線が上部についているマークです。

​HDDのアクセスランプとは、円柱形のようなマークが付いていると思います(メーカーによってはランプのみ)

​HDDのアクセスランプとは、パソコンがプログラムを読み込んでいる間などに点灯、点滅を繰り返しています。

HDDについては以下の説明をご覧ください。このHDDとはすぐに壊れてしまう部品ですが、とても重要な部品なのです。

​***パソコンの中にある写真や、自分で作ったワード・エクセルのファイル、年賀状ソフトの住所録などは
ハードディスク(HDD)という部品の中に記録されています。

ハードディスクは1秒間に100回転以上という想像も付かないようなスピードで回っています。
このディスクの表面を磁気ヘッドという部品が動いて、記録するデータに応じた磁化パターンを書き込んでいます。
磁気ヘッドは高速回転するハードディスクから発生する空気流に乗って、ごくわずかにハードディスクとの間にすき間を作っています。
そのすき間は10nm(ナノ・メートル,1nmは100万分の1mm)程度で、人間の髪の毛はおろかタバコの煙の粒子の大きさ(直径200nm~500nm)よりもはるかに小さなすき間です。

この「超精密」な部品であるハードディスクは、パソコンの中でも最もトラブルの多い部品でもあります。***

HDDのアクセスランプが点灯もしくは点滅している最中に、強制終了で電源を切ると、磁気ヘッドがHDDの表面に傷を作ってしまい、データの読み込みができなくなる恐れがあります。もちろん、パソコンが正常に起動しないということはおろか、データの救出も不可能な故障につながりかねません

ですので、やむなく強制終了する際には、このHDDのアクセスランプが消灯している時に行うのが無難なのです。

他にも、急な停電というトラブルもパソコンのメモリーやHDDなどの故障を引き起こすことがあります。

これに対する対策としては、予算があるならば無停電電源装置(UPS)の導入があります。これは電源が途切れても、この装置から電源が供給されるので、停電対策としては現時点で最上といえるでしょう。ただし一般家庭のパソコンで使用している人はまだまだ少ないと思います。

あと停電で思い起こされるのは雷だと思います。
雷の影響で起こる「雷サージ」は、機器の電源が入っている・いないに係わらず発生する可能性があります。
まず最初に危ないのは電話線などに接続された機器類です。
パソコン関連でいえばONUや、ONUと結線されたLAN機器などです(インターネット接続業者が設置する機器類や無線ルーターなど)。
また、強い雷が近くに落ちた場合、電源コンセントからの逆流電圧によってパソコン本体の故障も起こったりします。

対策としては、遠雷などが聞こえた際には電源コンセント(パソコンやモデム、LAN機器など)を抜き、電話線も抜くことをお勧めします。最近では雷による停電は減っていますが、万一のことがあります。
企業や会社などの場合には、こういった対策ができないので早めにUPSの導入を検討されたほうが良いでしょう。

パソコンは何年もつ?

よく聞かれる質問に「パソコンって何年使えるの?」というのがあります。

​これの答えは冒頭にも書いたとおりに、「明日壊れてしまうかもしれなければ、5~10年以上使えることもある」というのが答えです。

​“5~10年”という数字がどこから来ているかというと、これは以前に専門誌で読んだ内容なのですが、メーカーの基準としてパソコンの基本耐用年数が5年と仮定して生産されていると書いてあったからです。

​そもそも5年という期間の間に、まったくトラブルのないパソコンもあれば、半年・一年を待たずして故障してしまうパソコンもあります。また5年の間に新しいOSが発表されたり、画期的な新機能がパソコンに加わったりする可能性もあります。

実際、壊れても壊れなくても5年前後でパソコンを買い換えられるお客さんが多いように感じます。買い替えの時期が5年前後が多いことを考えれば、パソコンの寿命は5年程度と言えるでしょう。

いずれにせよ、「パソコンは壊れるもの」という頭でパソコンを使っていくことによって、上手に、あるいは一日でも長くパソコンを使えることは間違いないといえると思います。

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