パソコンユーザーが最優先にするべきこと
バックアップとは、パソコンに保存されているデータをパソコンとは別の場所にコピー・保存しておくことです。
データ復旧・復元のページでも触れていますが、パソコンの故障やトラブルの際に一番の問題となりやすいのが、パソコンの中に保存しているデータです。
時々、「パソコンの中にはさほど重要なデータは無い」と言われるお客様もいますが、ほとんどの方は「中のデータが無くなると困る」「なんとか中にあるデータを使いたい」というのが実情です。
もしデータがパソコン以外に保存されているならば、別のパソコンや新しいパソコンでそのデータを問題なく使えるようになります。(一部の特殊なソフトウェア・アプリ以外)
では普段のパソコンライフで、必要なデータを定期的にバックアップされている人がどれくらい居るのでしょう?
ある統計では、データのバックアップを一度も取ったことが無いユーザーは全体の20%だとされています。毎日バックアップしているユーザーは10%でした。約20%のユーザーが月に1回程度のバックアップを行っているとのことです。
そしてパソコンを所有している人の54%が何らかの形でデータを失う経験があり、これら以外の脅威としては50%強のユーザーがデータ流出の危険を伴うウィルス・マルウェアの攻撃や不正アクセスを経験し、約半数である48%のユーザーが外付ハードディスクの故障(クラッシュ)を経験しています。
- パソコンが壊れる(起動しなくなる)
- パソコン本体をメーカー修理に出さなければならなくなった
- 誤って必要なデータを削除してしまった
- ウィルス感染等によりデータにアクセスできなくなった
データに関わるトラブルは、パソコンを利用している以上避けられないものであり、パソコン利用者の最優先課題はデータのバックアップであるといえます。
バックアップするべきデータ
個人ユーザーでいえば、パソコンの中には写真・動画・音楽・自分で作成した書類(WordやExcelなど)・個人情報に関わるものなどがあるでしょう。加えて住所録やアドレス帳・インターネットのお気に入りなども挙げられると思います。
さらに会社等であれば、必要なメールデータ・業務に関わるデータなどその量と種類はさらに増えることになります。
要は、「このデータが無くなると困る」という単純な視点から、バックアップするべきデータを選ぶべきです。
もしバックアップをしていなければ、データ消失の際に大きなダメージがあることは間違いありません。特に個人ユーザーであれば、苦労して作った文章や表、思い出の写真や動画が消えてしまうと、もう2度と手元に帰ってくることはありません。
バックアップを行って、大切なデータを守りましょう。
どこにバックアップするか
大切なデータを残しておくために、どこにバックアップすれば良いでしょうか?
まずは一覧で見てみましょう。
- 外付けハードディスク(HDD)
- 外付けソリッド・ステート・ドライブ(SSD)
- USBメモリー
- 光学メディア(CD・DVD・BRD)
- NAS(Network Attached Storage)
- クラウド・ストレージサービス
これらの6種類の方法が、主なバックアップ先として挙げられると思います。
それぞれの特徴などを簡単に紹介したいと思います。
■外付けHDD■
いちばん一般的かつ容易にデータをバックアップできる方法です。簡単にパソコンと接続ができ、1TB以上の大容量も比較的安価で購入することができます。容量によってはパソコン全体のバックアップも取ることが出来ます。ただし、精密部品であるHDDは熱や衝撃に弱いので、使用する環境や頻度、さらにテーブルの上からの落下などは気を付けなければなりません。
■外付けSSD■
データの転送速度が速く、物理的に動作をしないので落下や衝撃に強い特徴があります。簡単にパソコンと接続することが出来ます。ただし、データの書き換え寿命が存在し、データの読み書きによって劣化していくという特性があります。これは使用頻度が少なければ、それだけ長持ちするということになりますが、平均的な使い方であれば寿命はおおよそ5年と言われています。データ容量当たりの単価は外付けHDDよりも高価です。
■USBメモリー■
小さくて軽く、持ち運びがしやすいのが特徴です。最近では2TBといった大容量のものもありますが、一般的には16GB~256GBまでの利用が多いと思われます。価格も手軽で、パソコンに挿すだけで使用できます。デメリットとしては持ち運びしやすい反面、紛失や盗難、落下等による破損、また静電気に弱いというものがあります。USBメモリーの寿命は平均で3年程度と言われていますが、製品品質または使用頻度や環境で変わります。特に製品品質が良いものであれば10年程度持つ場合もあります。
■光学メディア■
光学メディアは手軽にデータをコピーできる手段の一つです。家電量販店などではCD・DVDであれば100枚単位でわりと安価に販売されています。データの種類ごとに分けて保管すれば、管理や持ち運びもしやすいというメリットがあります。ただし最近のパソコンでは光学ドライブが付属していないものもあり、別途外付けの光学ドライブを購入しないといけないケースがあります。また、ディスク本体は太陽光(主に紫外線)や取扱いの際の傷、湿気などに弱い、また持ち運びがしやすい反面、紛失や盗難、落下などによる破損というデメリットもあります。メディアの品質や保管状況によっては1年程度でデータにアクセスできなくなることも珍しくありません。光学メディアにデータを保存する際は、保管場所や取扱いに注意が必要です。
■NAS■
NASはネットワーク機器につなぐことにより利用できます。ネットワーク経由でデータを保存します。外付けHDDに比べて大容量で、RAID(レイド-データを複数にコピーして保存)という機能を搭載しているものが多く、データを失う危険性が少なくなります。外付けHDDよりも容量当たりの単価は高く、初期設定や設置作業には若干の知識も必要です。これらの理由から一般家庭ではまだ利用者は少ない印象です。
■クラウド・ストレージサービス■
インターネットの仮想スペースにデータを保存できるクラウド・ストレージサービスは、バックアップ先として最も安全といえます。他のサービスと比べて故障や紛失、破損等のリスクが無い(サービス会社のサーバー障害などを除く)というのが理由です。代表的なクラウドストレージサービスとしては、アップルのiCloudやGoogleドライブ、Microsoft社のDropboxなどがあります。また、インターネットが使える環境であれば、登録したアカウントから、どこからでもデータにアクセスできるというメリットもあります。ただし、無料のプランなどではデータ保存に利用できる容量に限りがあり、パソコン内のデータを丸ごとバックアップするといった方法には不向きです。またファイルの転送にかかる時間はインターネット環境に依存するので、大きなデータや大量のデータを扱う際には注意が必要です。利用しているサーバー会社で障害等が起こった際には、必要なデータにアクセスできない可能性があることもデメリットのひとつです。
バックアップの方法
データのバックアップの一般的な方法を、簡単に説明します。
- 手動バックアップ
- 無料・有料のソフトを使ったバックアップ
- Windowsパソコンに標準で搭載されているバックアップ機能
■手動バックアップ■
手動のバックアップ方法には、いくつかのやり方がありますが、主にはコピー&ペーストやドラッグ&ドロップといった方法を使います。
少しパソコンを使ったことのある方であれば、容易な手順であると思います。USBメモリーや外付け機器などにデータをコピーする際は、これらの手動バックアップで行います。
Microsoftサポートページに、説明があるので参照してみてください。
ファイルやフォルダをコピーしてみよう(Microsoftサポート)
■無料・有料のソフトを使ったバックアップ■
パソコン全体をまるごとバックアップしたい場合や、定期的にデータをバックアップする際にはソフトを利用することで手間を省くことが出来ます。
ここでは、いくつかの無料ソフト・有料ソフトを紹介します。
- EaseUS Todo Backup Free(無料ソフト 機能が多い有料版もあり)
- BunBackup(無料ソフト Windows10/11で動作する)
- Acronis Cyber Protect Home Office(有料ソフト ディスクのクローン作製・システムのイメージファイル作成等が可能)
- HD革命/BackUp Next(有料ソフト 多彩なバックアップ用途にも対応)
■Windowsパソコンに標準で搭載されているバックアップ機能■
近年のWindowsパソコンには、標準でバックアップや復元をする機能が付属しています。
Windowsに標準で搭載されている「バックアップの設定」機能を使う方法です。
パソコンの内蔵HDD・SSDのデータを、外付けHDD等に定期的にコピーすることで、データの保全・管理を容易に行えます。スケジュールを設定することによって、決められた曜日・時間に指定したデータのコピーが行えます。
Windows標準の機能であり、標準機能ですので費用は掛かりません。初めてバックアップをする方におすすめです。システムイメージを作成することにより、ドライブ全体を復元することも可能です。
下記のリンクで詳しい方法が説明されています。